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菊水酒造(株)酒蔵研修(2025年)

2025年10月23日~10月24日営業職男性

  • 所属部署は研修時のものです。

未体験から体験へ

10月23~24日の2日間、新潟県 菊水酒造株式会社様の蔵研修に参加させていただきました。

菊水酒造様のある新発田市は新潟駅から車で約50分、山が連なり、降った雪や雨が長い時間をかけて加治川に流れ込み、良質な水を作り出しています。その水が日本酒づくりに非常に適していることを肌で感じました。

新潟県内の酒蔵は現在88社あり、自社で精米している酒蔵は10社にも満たないとのことでした。原料の米はすべて新潟県産を使用しています。

菊水酒造様のお酒の約9割が二王子蔵(さくら)で製造されており、年間の生産量は約5,700キロリットル、ふなぐち缶は1時間に2万本(約666ケース分)、720mlは5,000本、1800mlは2,500本を充填できるという規模に驚きました。

菊水酒造様は1972年に日本初の缶入り生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」と、にごり酒「五郎八」を発売されました。発売当時は割り当て商品だったそうです。
しかし現在は、1972〜74年の日本酒ピーク時に比べて国内出荷量が約3分の1まで減少しています。主な原因としては、バブル崩壊後の働き方の変化により上司の飲み会の誘いを断る若者が増えたことや、若年層のアルコール離れ、飲み会の減少などが挙げられるとのことでした。
このような状況のなか、菊水酒造様では「アルコール離れ」というよりも「お酒に触れたことがない若者」が多いことを課題と捉え、「未体験」から「体験」への取り組みを進めています。その一環として、2025年4月に「KIKUSUI蔵GARDEN」をオープンされました。
ここでは、お酒づくりの楽しさやエンターテインメント性を通して、米・水・麹・酵母が出会って日本酒が生まれる過程を五感で体験できます。発酵を体感することで新たな価値や人と文化の交流が生まれ、発見と体験が広がる場となっています。地域の小学生が米作りを体験する機会も設けられており、まさに体験型の素晴らしい施設です。

次に、節五郎蔵では全ての作業を手作業で行っており、そのため若手の育成や単価の高い商品を製造しているとのことでした。製造体験の前に、日本酒づくりの基本知識を教えていただき、その後に実際の製造を体験しました。
「酒母仕込み」は、1. 米を掘る、2. 冷ます、3. 水麹を造る、4. 米を投入する、5. 櫂入れ、6. 水と酵母を投入する、7. 櫂入れ、の順で進められます。酒造りにおいて酒母造りは非常に重要な工程であると教えていただきました。
実際に体験してみると非常に重労働で、米を掘る作業はとても重く、冷ます作業はコツがつかめず、櫂入れも力が必要でした。改めて酒造りの大変さを実感しました。

さらに、菊水「ふなぐち」の歴史とこれからの日本酒の楽しみ方について学びました。「ふなぐち」という名称は、仕込みの醪(もろみ)を搾る道具を「ふね」と呼び、その「ふね」の「くち」から出てくる搾りたての生原酒ということで「ふなぐち」と名付けられたそうです。
この「ふなぐち」と「カステラ」の組み合わせを体験しましたが、カステラを「ふなぐち」に浸すと、カステラの甘みの中から「ふなぐち」がじゅわっとあふれ、非常に濃醇な味わいになり、たいへんおいしかったです。若い層、特に女性には受けるのではないかと感じました。また、新たな日本酒の飲み方として、日本酒をベースにしたカクテルもいただきました。カクテルにすることで、合わせた材料の中からふわっと日本酒の香りが立ち上り、これもまた興味深い体験でした。

私は現在、業務用酒販店様を中心に営業を担当しております。お酒離れや飲酒機会の減少により、将来どのように販売していくべきか不安に感じることもありましたが、今回の2日間の研修で菊水酒造様が示された「お酒づくりを体験し、未体験を体験へとつなげる」というコンセプトに大変共感しました。今後はこの学びを営業活動に活かし、多くのお客様にご提案していきます。