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“無限”を楽しむために

現場責任者
対談

マーケットの可能性と、 日酒販への期待

日酒販が向き合うマーケットはどんな特徴を持っているのか?
そのなかで日酒販はどんなビジョンを描いているのか?
対小売、対メーカーの責任者2人に、未来へ向けた思いを語ってもらった。

※掲載内容は、インタビュー当時のものです。

対小売責任者
流通本部 営業部
部長
R.D
2003年入社
入社後、栃木支店に配属され、一般酒販店を中心に100店以上担当。
その後、百貨店の和酒ショップ常勤担当、大手スーパーマーケットチェーン営業担当を経て、現在、大手ディスカウントストアチェーン担当部署の部長を務める。
対メーカー責任者
営業本部 酒類事業部
部長
F.O
1995年入社
入社後、中央支店に配属され、一般酒販店、業務用酒販店を担当。
その後、百貨店の和酒売場を担当し、酒蔵の新規開拓、売場づくり・店舗運営を担う。現在は、全社のメーカー窓口となる部署の部長を務める。

Theme.01

変化の激しいマーケットに
日酒販はいかに
向き合っているのか

F.O
長年、酒と食のマーケットに向き合ってきて、いま感じるのは、私が入社した約30年前に比べると、市場が細分化され、商品アイテムが非常に増えたということ。また、商品のライフサイクルも年々短くなっています。
R.D
その通りですね。特に大手メーカーは多くの新商品を出すようになり、市場にモノが溢れかえっている状態。そのためヒット商品が生まれにくいし、ヒットしてもすぐに飽きられてしまう。
F.O
昔は“尖った”商品は市場に受け入れられず、マスの消費者に満遍なく受け入れられる商品が求められていましたが、いまはむしろ、しっかり対象顧客層を絞り込んだ“尖った”ものがほしいという需要が高くなっています。
R.D
だからこそ、幅広いメーカーと、全国各地のさまざまな業態の得意先、さらにユーザーとの架け橋となる日酒販の必要性は高まっているとも思っています。たとえば、大手と比べて資金力は低いが、素晴らしい技術を持つ中小メーカーに、得意先が日々実感しているリアルな思いやニーズを提供することで、“尖った”商品の開発につなげてもらう。そこに日酒販の役割があると思います。
F.O
そうですね。和酒で言えば、日本の酒蔵のほとんどは中小規模。そうした酒蔵の商品開発をサポートすることには大きな意義があります。話は変わりますが、もう一つ、お酒のマーケットで課題となっているのは、ユーザーの高齢化です。データで見ると確かに、酒類の購入層は中高年が多いのは事実。しかし、だからと言って、中高年層だけに注力していくのも違うのではないかと……。たとえば、若年層が注目するSNSでバズって売れるお酒もあります。つまり、そこに需要はあるのに、私たちを含めた酒類業界が若年層のウォンツに迫りきれていないだけ、とも感じています。
R.D
同感です。重要なのは、若年層が「お酒を手に取りたい」と思えるきっかけを、いかにつくるか。メーカーと得意先をうまくつないでいくことで、それを実現していきたいですね。たとえば、私の部署が担当している大手ディスカウントストアチェーンの購買層は、圧倒的に若年層です。そこで若年層の酒の需要を掘り起こして得た情報や知見は、今後、大きな財産になると思います。
F.O
酒は、老若男女どの層にとっても、「酒のおいしさ×食との相性」で食生活を豊かにしてくれるもの。酒と食のマーケットに深く向き合ってきた日酒販だからこそ、それを発信していくことができるし、また発信し続けていく必要があると思います。

Theme.02

他領域の知見が増えるからこそ、
酒分野に還元できることがある

F.O
日酒販がいま注力しはじめている事業として、お弁当や惣菜を製造する中食企業へ調味用のお酒を提案する取り組みがあります。少子高齢化に伴い、飲酒人口が減少していくなか、日酒販の得意先の酒類メーカーも中食市場には大いに注目しているところです。
R.D
中食はいま、右肩上がりで伸びている市場。対小売業向けの営業を担う私たちの部門も今後、調味用のお酒を扱う部門と連携して、そのノウハウを共有し、得意先のお弁当・惣菜部門にアプローチしていきたいと思っています。
F.O
また、日酒販には常に新しい商材を探している食品事業部があります。この部門と連携して、得意先が他の卸からは仕入れていないお酒以外の商品を提案するのも、日酒販として力を入れていきたいところですね。
R.D
実際、食品事業部から新しい輸入のお菓子や珍しいおつまみなどの食品、または食品関連のメーカーを紹介してもらい、それを得意先との商談につなげています。また、酒類メーカーやお酒の輸入業者から食品の情報をもらい、得意先へ提案することで採用される事例もあります。
F.O
そのように酒以外の領域を手がけることで、日酒販としてプラスになることはたくさんあります。酒は人びとの食生活に彩りを与えてくれますが、決して主役にはなれません。しかしながら、酒は食と合わせることでその可能性を無限に広げてくれるもの。だからこそ、お酒以外の領域を知ることが、酒の提案に深みを与える原動力にもなります。
R.D
そうですね。私たちの主戦場は酒分野なので、ともすると酒類業界の既成概念に縛られがち。そんななか、ある食品メーカーと協業してオリジナル商品の酒の開発を進めている際、「食品メーカーはこう発想するのか」と、新たな気づきを得ました。私たちは、食品メーカーの顧客の捉え方を把握しきれていないので、そこを学べると酒のマーケティング面でも意義が大きいと思います。
F.O
会社全体に酒以外の領域への知見が溜まり、それに伴い幅広い視野を持つ社員が増えることで、自由な発想での商品開発につながりやすくなるはず。また、広い視野からさまざまな話ができる社員の方が、得意先への提案でも採用確率の高い提案ができると思います。

Theme.03

得意先や消費者が期待する
「嗜好品市場への強み」、
その本質とは

R.D
「酒と食」という嗜好品市場では、社会や時代の変化によって、その流行が目まぐるしく変遷します。たとえば、私が入社した当時は空前の焼酎ブームで、その前は赤ワインブーム、いまはウイスキーブームが来て……。しかし、この需要リズムは戻ってくることもある。だから、いま光が当たっていないカテゴリーを決して軽視してはいけないと思っています。日酒販としては、ちょっと角度を変えた飲み方や見せ方の提案など、需要リズムを戻すための工夫をすることが重要。それは、酒のカテゴリーと得意先を全方位で持つ日酒販が、 個々の得意先や消費者から期待されているところだと思います。
F.O
大きな時代の変遷のなかで、あらゆるカテゴリーのさまざまな酒、あらゆる業態の得意先をつないでいくビジネスができるのが、日酒販の強みですね。
R.D
流行が変遷する一方、「酒と食」はいつの時代も必要なもの。そこに市場としての深みがあると感じています。
F.O
私事で言えば、色濃く記憶に残っているのは、昔、とある飲食店で、ひとかけらのチョコレートとウイスキーを合わせた瞬間、ウイスキーが抜群に旨くなったこと。そんな衝撃的な感覚が味わえるのが「酒と食」です。嗜好品なので、人それぞれ感覚は違って、「これが正解」というのがないのが難しい半面、奥が深くて追求しがいがあるところだと思います。
R.D
そんな奥が深い市場における日酒販の強みは、「人」のぬくもりが感じられるビジネスにあると思っています。卸というのは、単に物を流すビジネスだと思われがちで、実際に多くの卸会社が物を効率的に流すことに重点を置いているなか、日酒販のビジネスはそれとは一線を画します。たとえば、酒のつくり手の思いを、「小売企業から消費者に届けるまでの過程」にいかに落とし込むか、というところまで考えた提案を行ったり、また、他社が手を出していないもの、いま売れていないものに光を当てて拡販する提案を行ったり……。効率だけでなく、文化的発信とか、長期的なお酒との関わり方の提案にも重きを置いているのです。ここまで担当者それぞれが一つひとつの案件を掘り下げて、きめ細かい提案に取り組んでいるのは、当社ならではだと思います。
F.O
得意先のバイヤーから「日酒販はいろいろ面白い提案をしてくるね」と、一方、メーカーから「日酒販と組むと新しいチャレンジができる」などとおっしゃっていただける所以ですね。
R.D
営業現場での動きで言うと、複数社の商品を集めて提案するのは、非常に手間がかかり大変。にもかかわらず日酒販はそれをやる。なぜなら、仕入れできる特約メーカーが多くあり、提案できる商品が豊富だから。そこに当社の優位性が生まれます。
F.O
さまざまな嗜好に寄り添うことを大事にするからこそ、主軸は「酒類卸」であることが大事。なぜなら、それが日酒販の競争力の源泉だからです。だからこそ、酒類事業部としては、日本酒の蔵元やさまざまな酒造メーカーの開拓や、既存の酒類メーカーとの関係性の深耕、商品開発での協業などを通して、酒類に関するノウハウをさらに磨いていかなければと考えています。
R.D
対小売業、対メーカーの双方の現場において、「日酒販は面白いね」と言われるには相当な努力が必要。だけど、そこに社員一人ひとりが当たり前のように取り組んでいるのが「日酒販らしさ」かなと思います。